大学と地域社会
都市圏でかつ有名大学以外の全国の大学という大学で、いま様々な大学のアイデンティティ構築の模索が続いている。
地域に巨大なシンクタンクが存在し、学生という若いパワーが溢れているこのリソースに、地域住民はもとより、学校の当事者もあえてその活用方法に気づこうとしなかったのではないだろうか。
今、しきりに地方の大学では地域社会との接点を持とうとしている。
大学全入学時代への突入−−−
大学の法人化−−−
孤高の教育機関でなくなった「大学」−−−
こうした要因が複雑に絡みながら、しかしそれらを一つの方向へと収斂していく必要性に駆られているのだ。
個人的事情ながら、3月で大学院を修了した。
地域への貢献、門戸開放を掲げる拙大学もやはり地域との連携を進めている。
ただ、そうした取り組みの数々が、「大学側」から見た視点に偏っている観も否めない。
つまり、「大学から地域への貢献」になっているのだ。
そしてその内容も、いわゆる教授陣の市民向け公開講座や、自治体等との合同研究等、そしてその発表等が主なものであろう。
ここで疑問符がつく。
前述のように、大学には先生はもちろん沢山いるだろう。
しかし、同時にその何倍もの「学生」がいるのだ。
学生の価値をこの少子高齢時代の大学において考えるとき、
?若さ
?良い意味での無鉄砲さ
?貢献活動への意識の高さ(近年の学生はそうした教育を経た世代である)
?豊富な活動力
?多くの新鮮な知識体系
等々枚挙にいとまがない。
学生と地域を如何に親和性をもって共生させてゆくのか。
学校と下宿の往復、あるいは学生と教授同士の内々のつながりのみに固執や限定されるべき時代でないのは明らかであろう。
学生を活かす。
そして地域も学生を活用する。
そこに活性化の萌芽を見出す努力をする。
地域時代の大学に求められる新しい大学の姿が今後大きく変わるであろうこの時期、はたしてどういったアプローチを大学はとっていくのか、地方ほどその疲弊感があらわな現状において、極めて注目に値するテーマなのではないだろうか。
もちろん、自治体も、地域の大学を無視できなくなっていることを失念してはならない。