その2

霞ヶ関の朝はあまり早くありません。

なぜ遅いのでしょうか。それは皆が皆、ほぼ遠距離通勤を余儀なくされているためです。かくいう私も、通勤に1時間10分程度要しました。まあ、平均的な通勤時間といえるでしょう。
残念ながら車社会だった地元と異なり、完全な公共交通機関社会の東京は、朝ともなればニュースでしか見たことのないような通勤ラッシュが待っています。これがまあ田舎で悠々と車通勤していた私にとっては結構きつかったのです。

私が利用していたのは日比谷線です。

ですから、北千住〜上野〜銀座あたりが一つのピークとなって、霞ヶ関に至るころにはラッシュそのものは緩和されています。

最寄りの駅は、出向最終月の3月にようやく始発が止まるようになったためずっと座位のままうたた寝も可能になったのですが、基本的にそれまでは立って通勤です。
席が空くのはまれです。そのため、つり革に必死でしがみつき、その前に座っている方が降りるのを虎視眈々とねらうほかありませんでした。
まあ、全く座れないということは、前述のとおりある程度ラッシュを乗り切ればなかったため、そんなにきついことはありません。

東京の駅は、皆整然と並んで乗車、降車します。また、エスカレータも右は開けておかねばならない当地の人にとっては当たり前の暗黙のルールが存在します。
これは、まさにご当地ルールで、自身も慣れてしまえばどってことなかったのですが、慣れるまではちょっとご迷惑をお掛けしたかな、という場面もしばしばありました。

そして、まれに事故等で列車が遅れたりします。

たちまち大混雑。すごい人です。私も一年間で何度かそういう場に遭遇しましたが、東京人は平然としています(なかにはすごい剣幕の方もいましたが)。
あの感覚は、こちらでは味わえないですね。
前提が公共交通機関を利用する住民がほとんどであるため、というのがあるからですが。

そして、列車のなかは、混雑すればするほど「静寂」の空間となります。静かです。

みなしゃべりません。

こちらでは高校生がうるさいうるさい。地べたに居座る高校生もいます。
それは列車が余裕を持って乗車できるスペースがあるからなのですが、もう少し考えていただきたいですね。

座って通勤出来るときは、決まって寝てました。一時間くらいあるので、うとうとするのはちょうどよいのです。
静かですし。
乗り過ごすことはありませんでした。
これは人間のすごいところで、ちゃんと降車すべきころに目がはたと覚めていました。

通勤ラッシュを乗り越えると、霞ヶ関駅から庁舎の入り口まで結構歩きます。そして1時間15分ほどで机に到着です。

そして忙しい一日を迎えるのでした。