効率化がもたらすもの。

かつて移動手段が徒歩であった時代は、「旅」には相当な覚悟が必要だったはずだ。しかし行く先々での様々な出来事に遭遇することによって、目的をはたす順序を踏んでいったような記がする。そして時間も充分に使うことが移動する意味を担保できたいたのだろう。

そして現在。

移動にかかる時間は極めて少なくなっている。九州から東京まで飛行機ならば1時間ほどだ。
情報だってネットが異なる場所の情報を用意に同期してくれる。
こうして時間の「無駄」は大いに省かれてきたわけだ。

しかし。

こうした効率化は、人間を豊かにしてきただろうか。
効率を求め、時間を短縮することで他の事柄への足かせを逆に増やしてはいないだろうか。

かつて、仕事でも東京へ行くには1泊が当たり前で、他の職場の者と一緒に時間を割き、夜は親睦を深めた、らしい。
今は日帰りであっとうまに「用事だけ」を済ませて帰ってくる。
効率化によって、無駄な時間と旅費を削減できた。
が、ふと考えてしまう。

一泊することの時間のゆとりや、1泊が生み出す経済的効果、そして人的なつながり(コミュニケーションの機会)。
それらを無くした結果、相対的に何がもたらされたのだろうか、と。

3.11によって、どうも考えが変わってしまったような気がする。