「こうのとりのゆりかご」を見つめて

ちょっと時間をぬって題記の新書を読んだ。

中身はシンポジウムの議事録とパネリストの思いが綴られたもので、法的な課題や社会の体制的な問題提起で、結論は、『もっとみんなで命について考えよう』という内容だ。

amazonで検索しても見つからなかったのはなぜだろうか。

それはさておき、命の尊さへの真摯な提言と、行政や医療機関の連携、そして法的な問題といった大きなテーマがクローズアップされている。

人間の尊厳という極めてナーバスな問題でもあるが、慈恵病院の田尻部長の現場体験と研究に基づく知見は、短い文章だが、母性に満ちた非常に格調高い内容だった。

自身、子どもを授かって、今は忙しさにかまけてこうした面になかなか目が向けられないという状態だが、もっと世の中を広角で見ることが重要だという点は非常に考えさせられるものがある。

同書で熊本県立大学学長がこうした課題は、まさに「アドミニストレーション」という視点が大事だ、と述べておられるが、なんにせよ、今は社会的な要請が、横断的な課題解決へのアプローチを求めている、というコンセンサスとなって現代社会にこうした形で問題提起していると言えるだろう。

これからも問いかけ続ける「ゆりかご」の意味。

10年後はどんな社会がゆりかごを待っているだろうか。